初めまして、フリーランスデザイナーを目指している〇〇と申します。
サムネイルで0→1達成したのですが、継続案件もすぐ途切れてしまい、不安です。
案件応募はしているものの、サムネイルでの案件も取れず、バナーやリッチメニューの勉強を始めてみました。
他にどんな道があるのか、皆さんは何を基準としているかなど、お教えいただけますか?
初めまして、おこじょです。
ご相談ありがとうございます!
まず、ご自身でデザインの勉強をされて、1つでもお仕事につながっている。
本当にすごいことだと思います。おめでとうございます。なかなか出来ることじゃないですよ。
「他にどんな道があるのか」と、不安になる気持ちもすごくわかります…!
私も、はじめの3年間くらいはずっと、先の道が見えなくて悩みながら走り続けていました。
さて、今回のご相談に対しては、直接的な回答ではない少し違う話を先にさせてください。
前提として、私がこれからお話しすることがすべてではないし、100人いたら100通りの道があります。
あくまでひとつの考え方として、すべてを参考にするのではなく、取り入れられそうな部分だけをうまく取り入れていただけると嬉しいです。
フリーランスじゃない方がいいのでは?
ご相談の中で一番気になったのが、どうしてフリーランスデザイナーを目指しているのか?です。
もし、フリーランスになりたい理由が「今の会社を辞めたい、もっと自由に楽しく働きたい」ということであれば、わざわざ茨の道(フリーランス)を選ばなくても、転職することでも願いは叶うはずです。
むしろその方が、将来的な可能性は大きく広がるんじゃないかな。
いきなりフリーランスをおすすめしない理由はたくさんあります。
こちらの記事ではいろんな点に触れていますが、ひとことで言うなら「短期的にはなんとかなったとしても、長期的な目線で見たときに絶対しんどいから」です。
数年後・数十年後も安定して価値を発揮できるデザイナーになるためには、ぜひ一度、企業に入ることを検討してみてください。
(もちろん、いきなりフリーランスで大成功する例もありますが、努力を努力とも思わずに、迷う暇もなく行動し続けられる方にしかおすすめできないかな・・)
この業界は特に、フレックス制やリモートワークなど自由な制度を取り入れている会社も多いので、
- 安定した収入を得る
- 実践経験を積みながらプロの元で学ばせてもらう
- 自由な働き方を実現する
この両立も十分成り立ちます。
最近、こんなすごい制度を取り入れた会社も現れて、ますます働きやすい職場が増えていきそうな予感がしています。
https://twitter.com/Bucky_mkt/status/1529679336500248576?s=20&t=KSzpEEyJhPzaDZuGYC7oHA
もちろん、上記は特殊な例ですし、自由には責任が伴います。(当然、理想的な働き方を実現できる企業に就職するためには、それ相応の高度なスキルも必要です。)
デザイナーへのキャリアチェンジのための長期戦略
さて、ここで一旦、質問者さんの質問を大きく捉え直して、「デザイナーとして安定した収入を得ながら自由に働けるようになりたいけど、どうしたらいいか」という質問だとしたらどう答えるか、考えてみました。
今の私だったら、長期目線での戦略をおすすめします。
- 画像デザインから一歩進んだ領域にチャレンジする
- 転職活動用のポートフォリオを作成する
- スキルアップが望める企業に就職する
- 企業で最低1〜3年ほど経験を積んだ後に、転職・独立・キャリアチェンジを検討
①〜③の時期は正直かなり大変だと思うし、たくさん迷うと思います。
短期的に稼ぎたい誘惑にかられて、回り道もたくさんすると思います。
それでも、ここを頑張れば④の間はきっと楽しめると思いますし、数年後、数十年後も安定した自由を得やすい状態が作り出せるはずです。
④の頃には、今はまったく見えていない、たくさんの道が見えるようになるはずです。
いまwebデザイナーが飽和しているとも言われていますが、④までをしっかり積み重ねて、質の高いスキルを持っているデザイナーはものすごく不足しています。
長期目線で考えて行動を積み重ねていけば、仕事に困らないどころか仕事がありすぎて困る状態もつくれます。
①画像デザインから一歩進んだ領域にチャレンジする
サムネイルなどの画像デザインだけでも月5万程度の収入は十分目指せますが、それ以上を目指す場合はさらに一歩進んだスキルが必要になります。
サムネイルやバナーのデザインには、デザインの大事な基礎的な要素がたくさん詰まっているので、最初の一歩としては大正解。
そこからもう一歩進んだり、別のスキルを掛け合わせたりすることで、進める道は無限大に広がります。
デザインほど、あらゆる分野に必要とされるものはないんじゃないかというくらい、それくらい幅広く応用が効くスキルなんです。
一歩進む領域も人によって様々ですし、無限大に可能性はありますが、例をあげるとこんな感じ。
- webサイト、LPのデザイン
- マーケティング
- webライティング
- コーディング
- 動画制作
- 撮影
- グッズ制作
- ディレクション
- UIデザイン
一般的には、webサイトやLPのデザインに進む人が多いですが、マーケティングや動画の道に進む人もけっこういる印象。
まずは少しずつ手を出してみて、楽しい!もっとやりたい!と思った分野を深ぼっていくのがいいと思います。
また、いろんな企業の求人を見て、気になる企業をピックアップしてみてください。
ピックアップした企業の多くで共通して求められているスキルを中心的に伸ばしていくと、次のステップでも有利になりやすいです。
スキルの伸ばし方については今回は割愛しますが、
- とにかく質の高いアウトプットをし続ける
- 質の高いアウトプットをするためには質の高いインプットが必要
- 高額ではないスクールやメンターなどの利用も検討を
- とにかくアウトプット
- プロのレビューをもらう
こんなところでしょうか。
②転職活動用のポートフォリオを作成する
採用してもらえるかどうかは、ポートフォリオで決まると言っても過言ではありません。
だから、まずは自信を持ってポートフォリオに載せられる作品を作ること。実際の案件でなくても、仮の案件で構いません。
ポートフォリオでチェックされるのは主に次の項目。
- アウトプットのクオリティ
- そのアウトプットに至るまでの考え(どういう課題をどう解決しようとしたのか)
- 情報が整理されているか
いくつも応募しているのになかなか選考に進めない…という場合は、十中八九ポートフォリオが原因です。
(もちろん、どんなにポートフォリオが良くても、タイミング的にポジションにマッチしなかったり、等もありますが)
ポートフォリオはプロのデザイナーにチェックしてもらって、ブラッシュアップを積み重ねていきましょう。
(プロのデザイナーであっても、自分のデザインを客観視してクオリティを判断するのは至難の業。デザイン初学者には絶対無理くらいに思っておくのが吉です。)
また、デザイナーの場合は、ポートフォリオ”サイト”をわざわざ作成する必要はありません。
Figmaで実績を並べてURL共有したり、MATCHBOXなどの無料で簡単にポートフォリオを作成できるサービスを使っても大丈夫です。
あくまでポートフォリオに載っている制作物のクオリティを見たいので、形式は気にされないことが多いです。(見る人にとって見やすい形で共有するスキルはデザイナーには必須なので、そこは見られます)
③スキルアップが望める企業に就職する
どの企業を選ぶか次第で、その後の人生が大きく変わります。
とはいえ、1社目で大吉を引く必要はありません。
ある程度経験を積んで、スキルを身につけてからでないと見えない景色があるので、それが見えるようになってから、次のステップ(転職・独立・キャリアチェンジ)をまた考えれば大丈夫。
会社選びで特に重視すべきポイント
1社目で特に重視すべきポイントは「スキルアップできるかどうか」に尽きます。
教えられる人がいない(もしくは、いるけど忙しすぎる・人格に問題がある)環境や、ただ単純な作業をこなすだけの環境は避けましょう。
ブラックな労働環境の企業が多いのも事実ですが、その分スキルアップは見込める場合が多いので、修行期間と割り切ってあえてそういう環境に飛び込むのもありだと思います。
とはいえ、それで身体や心を壊してしまったら本末転倒なので、「前向きに頑張れそうな環境かどうか」を基準にするのが大切です。
ちなみに私の場合は、1社目にはこんな環境を選びました。
- 制作会社ではないけど、数ある事業のひとつとして受託制作もしている会社(いろんな業務に携われる可能性が高い)
- ベテランデザイナーの先輩に見てもらえるチーム編成
- メンバーは、変人が多そう(楽しい)
会社の探し方は転職サイトやエージェントだけじゃない
一派的な転職サイトや転職エージェントだけではない、会社探しの方法を知っておくと有利です。
良い会社ほど、転職サイトに求人を載せなくても応募が来るから、そこには載っていない場合もあります。
人からの紹介での採用がとても多いですし、新しいプラットフォームやSNSでの採用も盛んです。
この業界ならまず使って欲しい転職サービスはWantedly(ウォンテッドリー)。
若い方なら、第二新卒も使えるオファー型就活サービスを使ってみるのもいいかも。
おそらく年収は下がる
未経験なので、1社目は当然、高年収は期待できませんが、「実務経験を積みながら勉強させてもらえるのに、お金までもらえる」そう考えたらお得な気もします。
また、アルバイトやインターンでも大丈夫という方は、企業の選択肢が一気に広がります。
40代未経験の方が、インターンからスタートして正社員採用された実例も知っています。
ただ、養わないといけない家族がいるなど、リスク許容度の低い方には苦しい選択ですよね。
そういう方は、時間的なしんどさが伴いますが、複業を前提に転職先を選んでいく必要がありそうです。
(個別ケースに踏み込んだり、さらに話を広げる必要が出てくるので、今回はそのあたりの話は割愛します)
④企業で最低1〜3年ほど経験を積んだ後に、転職・独立・キャリアチェンジを検討
無事企業に就職できたら(ここまでがめちゃくちゃ大変です。お疲れ様でした!)、まずはとにかく仕事を楽しんでください。
日々新しい学びだらけで、正直ものすごい疲れると思います。
フィードバックもいっぱいもらって、凹むこともたくさんあると思います。
それでも、作るのが楽しい!成長するのが楽しい!と感じられるのなら、デザイナーに向いています。
(人間関係や長時間労働など、別の要素でその楽しさが薄れてしまうような職場もあります。それに気付いたらすぐ避難してくださいね。また別の道を探したらいいのです)
企業の中である程度(最低1〜3年程度)経験を積んでいくと、新しい道がたくさん見えてくるようになります。
- もっとこういう仕事がしたい
- もっとこういう環境で働きたい
そういう想いが出てきたら、次のステップを考える時です。
今いる職場で実現できるよう働きかけるのか、転職や独立で叶えるのか、あるいは別のキャリアに進むのか。
実務経験を積んでスキルアップしたあなたには、選べる選択肢が増えているはずです。
そうやって一歩ずつ経験を積み重ねていきながら、選択肢を増やしていくイメージです。
コツコツ着実に進んでいくことで、目指していた場所にいつの間にかたどり着いていたり、思いもよらなかった新たな夢が見つかったり。
焦らずじっくり取り組んでいけば、目指す過程も楽しいものですよ。
きっと、今では想像もできないような景色が待っています。
それでもやっぱりフリーランスになりたい場合
これまで、一度は企業に就職した方がいいよ!というお話をしてきましたが、それでもやっぱりどうしても就職はできない、いきなりフリーランスになりたいんだという場合。
この辺りを意識したらうまくいくんじゃないかな、というポイントをお伝えします。
コミュニケーションをデザインする
フリーランスで継続的にお仕事をもらう場合に重要なのは
「また依頼したい、一緒に仕事をしたいと思ってもらえる人になる」ということです。
では、また依頼したい人ってどんな人でしょう?
「求めるスキルがあること」はもちろんなのですが、ただスキルがあるだけの人にはまたお願いしたいと思いません。
一緒に仕事をして気持ちいい人って、コミュニケーションが気持ちいいんですよね。
- 返信が早い(遅れる時はひとこと連絡をくれる)
- 手間をかけないようなやり取りをしてくれる
- 硬すぎず、柔らかすぎない
- 先回りして対応してくれる
- 不安を取り除いてくれる
(もちろん、相性の合う合わないもあります。)
一度ぜひ、小さなことでいいので、自分から仕事を発注してみてください。
発注者側が何を求めていて、どういう人にまたお願いしたいと思うのか、よくわかるはずです。
人との繋がりをデザインする
特に個人事業主だと、人との繋がりで仕事が舞い込んでくることが想像以上に多いです。
学生時代の友人だったり、通ってるジムで出会った人だったり、別の仕事で一緒だった人だったり…。
思わぬところで繋がって、思わぬ仕事が生まれていきます。
今まで出会ってきた人たちや、日々出会う人たちに、「デザインの仕事がある時に思い出してもらえる存在になる」ことが大切です。
- デザイナーであることを公言しておく
- 信頼を積み上げておく
- より多くの人との質の高い繋がりを作っておく
どうやったらデザイナーを必要としている人と質の高い繋がりを作れるのか?を考えて、繋がりをデザインしていく。
言葉だけで見ると無機質で冷たく感じますが、本質的には「人柄」と「信頼」の元に仕事は集まってきます。
誠実な人間であることが、遠回りなようで1番の近道になるのかもしれません。
インプットとアウトプットを欠かさない
スキルアップするためには、質の高いインプットと質の高いアウトプットが必須です。
特にアウトプット。
なかなか仕事に繋がらない…という方は、アウトプットが足りないことが多いです。
サムネイルやバナーであれば、100枚でも足りないくらい。
300枚作ったんだけど全然デザインできるようになりません!という方は、努力の仕方を間違えてしまってるかもしれないので、ぜひご相談を。
古い記事ですが、デザインスキルを高めるコツはこちらで紹介しています。
慢心しない
フリーランスとして一人で仕事をできるようになってくると、つい「自分はすごい」と感じてしまうと思います。
実際、めちゃくちゃすごいです!自分を褒めてあげてください!
だけど、慢心して勉強を怠るようになったら、おしまいです。
常に学ぶ姿勢を持って、より良い自分を模索していく。
コツコツ成長し続けられる人は、フリーランスに向いています。
また、せめて時々でもいいので、自分より先に進んでいる人や、プロと共に仕事をする機会を作りましょう。
自分に足りないものをまざまざと見せつけられて心が折れそうになるかもしれませんが、それはただの成長痛です。
1年前の自分、ポンコツだったな〜と毎年思えるくらい、成長し続けられたら楽しいですよね。
おわりに
長くなってしまいましたが、お付き合いいただきありがとうございました。
質問者さんのお悩みの回答になったかわからないのですが、誰かにとって、何か少しでもヒントになる部分があれば嬉しいです。
まずは走り始めてから考える!走りながら考える!
それができる人は、勝手にどんどん前に進んでいくので大丈夫です。
今は靄がかって先の道が見えなくても、行動し続けているうちに、いつの間にかたくさんの道が見えてきます。
その過程で出会う人たちとのご縁も大切にしながら、目の前のことに誠実に、楽しみながらコツコツと。
数年後・数十年後に、今日の行動に心から感謝できる日がきっと来ますように。
お悩み相談を受け付けています。
あなたのお悩みを、匿名で質問投稿できるこちらから、こっそり教えてください。
デザインのこと、人生のこと、なんでも構いません。
絶対すべてのご相談にお応えできるわけではありませんし、忘れた頃に記事になるくらいのゆっくりペースですが、それでもお付き合いいただける方は、気軽に質問を投げてくださいね◎
これからwebデザインを学び始める方はもちろん、すでに学習を始めている方にも向けて、再現性高く、未経験から確実に、現場で通用するwebデザイナーになるための方法を紹介しています!