デザイナーなら誰しもが経験したことのある、「デザインを添削される」という経験。
この記事では、デザイン添削、すなわちデザインレビューにおいて、
・レビューの観点
・レビューする側が気をつけたいこと
・レビューされる側が気をつけたいこと
についてまとめました。
デザインレビューとは
「添削」「チェック」「レビュー」いろんな呼び方がありますが、
「デザイナー同士で、制作したアウトプットのチェックをすること」を言います。
会社によって形式は全然違いますが、大きくわけると2パターンあります。
❶上司から部下へ
上司であるベテランデザイナーが、新人デザイナーのデザインをチェックする形式。
❷メンバー間で相互に
デザインチームメンバー全員で、それぞれレビューし合う形式。部下が上司のデザインをレビューすることもある。
デザインレビューの目的
目的も会社によって様々ですが、大きく分けて4つのポイントがあります。
・アウトプットのクオリティを高める
・品質の担保
・デザインの言語化のトレーニング
・チームビルディング
アウトプットのクオリティを高める
特に新人デザイナーの場合は、1人で完成まで持っていくのはなかなか難しいでしょう。
そのため、ベテランデザイナーがフィードバックすることで、
デザインの精度をより高めていくために、デザインレビューを活用します。
品質の担保
複数人の目が入ることで、1人では気付けなかったミスや視点などを発見できる可能性が高まります。
ベテランのデザイナーだって、ミスはつきもの。
品質担保のために、デザイナー同士の相互レビューは効果的です。
デザインの言語化のトレーニング
デザインを制作した側は、レビューする人にデザインの意図を伝えます。
レビューする側は、フィードバックを論理的に説明します。
そうすることで、お互いにデザインを言語化する癖がつき、より説得力のあるデザインを作れるようになっていきます。
チームビルディング
会社内に複数のデザイナーがいる場合、お互いにレビューをし合うことで、チームのコミュニケーションを活発にする効果も期待できます。
レビューすることで純粋にコミュニケーションの機会が増えることも一つの理由ですが、
チームメンバーがやっている作業をレビューを通して把握することで、
連携が取りやすくなったり、自然と助け合う文化が生まれるというのもその理由です。
デザインレビューの観点
チームメンバー同士で相互レビューをする場合、
ベテランでなくても、他の人が作ったデザインをレビューする機会があります。
初めのうちは、どんな観点で見ればいいのかわからない…!となってしまうと思うので、
レビュー時の観点をご紹介します。
・基本的なデザイン原則
・デザインの目的に沿っているか
・ターゲットに合っているか
・実機での表示に問題ないか
基本的なデザイン原則
カーニング(文字詰め)や余白のバランス、文字の可読性など。
コントラスト不足で文字が読めなくなっていないかなど、アクセシビリティの観点でもレビューできる人は貴重です。
デザインの目的に沿っているか
そのデザインを作るにあたっての、課題と目的を確認しましょう。
例えば、認知度が低いという課題があるので、より多くの人に覚えてもらえるような目を引くバナーを作る、という目的があった場合。
どんなにおしゃれでも、平凡で特徴のないデザインでは、目的に沿っていないですよね。
ターゲットに合っているか
どんな人に向けたデザインなのかを確認しましょう。
例えば、シニア向けのデザインの場合、通常より文字を大きめにくっきりさせるなど、
ターゲットに合うように工夫されているかチェックしましょう。
実機での表示に問題ないか
特に、スマホで表示されるデザインの場合。
必ずスマホからもチェックするようにしましょう。
パソコンで見ると普通だけど、スマホで見ると文字が小さくて読めない…なんてことはよくあります。
デザインレビューの注意点
レビューする側にも、される側にもメリット盛り沢山なデザイン相互レビュー。
しかし、お互いにこれからご紹介するポイントを気をつけないと、
思わぬトラブルを呼んでしまう可能性もあります。
レビューする側が気をつけたいこと
他の人のデザインをレビューするときに、心がけたいポイントです。
人格否定をしない
当たり前ですが、デザインのアウトプットが酷かったからといって、
作った人自身の人格に問題があるわけではありません。
制作物と制作者は切り離してフィードバックを伝えましょう。
ここを間違える人が1人でもいると、チーム全体が一気に険悪な雰囲気になってしまいます…。
感覚で話さない
なんとなくカッコ悪い、なんとなく気になる、といった、感覚での指摘は避けましょう。
感覚的なフィードバックをもらっても、どう修正すべきかわからなくなってしまうためです。
デザインのフィードバックは、論理的に伝えること。
良いところも伝える
デザインレビューは、どうしても悪い部分の指摘に偏ってしまいます。
レビューの役割としてはそれでいいのですが、レビューされる相手も人間です。
お互い気持ちよく仕事をするためにも、ぜひ、褒める習慣をつけましょう。
まず最初に、良いと思った部分を伝える。
その上で、より良くできる点を伝える。
そうすることで、レビューを受ける人も素直な気持ちでフィードバックを受け入れることができます。
レビューする側が優れていると勘違いしない
他の人のデザインにフィードバックできるということは、
自分はこの人よりいいデザインを作れるのではと勘違いする人が時々います。
新人デザイナーへのレビューの場合はそうかもしれませんが、チームメンバー同士のレビューの場合、それは大きな間違いです。
デザインの難しさは、0を1にすること。
すでに1になっているものを客観的に見てフィードバックすることは、デザイナーでなくてもできます。
もし自分が作る側だったら、同じ状況になっていたかもしれない。
そういう視点を常に持って、批判ではなく、より良くするためのレビューをしましょう。
レビューされる側が気をつけたいこと
自分が作ったデザインのフィードバックをもらったときの心がまえです。
落ち込みすぎない
駆け出しの時期は、山のようにフィードバックを受けて、つい落ち込んでしまうこともありますよね…。
でも、あなたにフィードバックをしているそのベテランデザイナーさんも、
新人の時は間違いなく、同じようにフィードバックを受けているんです。
フィードバックをもらってアウトプットの精度を高めていく。
この繰り返しでしか、デザイン力を高めることはできません。
みんな通ってきたこの道を乗り越えて、自信をつけてプロのデザイナーになっていきましょう。
そして、デザインに対するフィードバックは、あなたの人格を否定しているわけではないことも忘れずに。
制作物と制作者は切り分けて考える。レビューを受ける側も必要な心がまえです。
客観視は難しいことを理解する
作ってる時は気付けなかったけど、他の人に指摘されたら「うわ、ほんとじゃん…」ってなること、しょっちゅうあります。
自分で作ったデザインを客観的に見るって、ベテランでも難しいことなんです。
もちろん、客観視するための工夫は必要ですが、
制作に没頭してたからこそ見えないものがあるもの確か。
デザインレビューは悪い部分を指摘するためのものではなく、
客観的な意見を取り入れて、より良いものを作るためだと理解しましょう。
納得いかないフィードバックも、まずは受け入れる
レビューする人が常に正しいとは限らないので、
時には納得のいかないフィードバックを受けることもあると思います。
そんな時に、「いやこれはこうだから…!」とすぐに否定するのはちょっと待って。
まずは一度受け入れて、もらった案のいい面も見てみましょう。
その上で、やっぱり違うと思うなら、なぜ違うのかを論理的に説明することを忘れずに。
相手も納得できるような説明ができなければ、それは良いデザインとはいえないかもしれません。
レビューに出す前に気をつけたいこと
そもそも、レビューに出す前にしっかりセルフチェックして、
一発OKをもらえるようにしたいですよね。
基本的なデザイン原則は欠かさずチェック
カーニング(文字詰め)や余白のバランス、文字の可読性など。
これはデザイナーとして当たり前にクリアしておきたい部分です。
ここをレビューで指摘されてしまったら、ちょっと反省しておきましょう…。
客観視するための工夫
完全に客観視することは記憶を消さない限り不可能ですが、
少しでも客観的になるために、こんな方法があります。
・いろんなデバイスで確認してみる
・一晩置いてみる
・ユーザーになりきってみる
まずは、パソコンだけでなく、スマホからも確認してみる。
チャットに送って、チャットの画面で見てみる。
プロトタイプを作って、操作しながら確認してみる。
そんな風に、作業中の画面から一歩離れたところで、自分のデザインを確認してみましょう。
また、納期に余裕があれば、完成してすぐに提出せずに、一晩置いてみましょう。
次の日にスッキリした頭で確認してみると、
作業中に気付かなかったミスや違和感に気付けることもよくあります。
最後の手段は、ユーザーになりきってみること!
デザインのペルソナ(ターゲット)を今一度確認して、その人になりきってから、デザインを確認してみる。
あれ、なんか見にくいな?とか、気付けることがあるかもしれません。
背景や目的を整理する
レビューする側が、どんな観点でレビューすべきなのかわからないと、
まったく方向違いのレビューになってしまいます。
デザインレビューに出す際に、そのデザインの目的や背景がまとまっている資料を共有したり、
「こういう観点でレビューをいただきたいです」と一言添えることで、より的確なレビューを受けることができます。
まとめ
デザインのフィードバックを受けて落ち込んでしまいがちな新人デザイナーさんへ、
レビューを受ける際の心がまえを知っておいて欲しいと思い、記事を書き始めました。
一方で、デザインレビューする側にも同じ心がまえがないと、
悪いところを言い合うだけの、ギスギスしたレビューになってしまいます。
レビューする側、される側、双方がレビューの目的を理解し、
より良いデザインを制作するための手段として、うまくデザインレビューを取り入れていただけると嬉しいです。
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